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2006年6月に衝撃的なニュースがありました。
大阪府内の私鉄高架下の建物に入居している文具店に30年余り勤め、中皮腫で死亡した男性の遺族が、建物所有者の電鉄会社と関連会社の不動産管理会社が内壁に吹付けられたアスベストの飛散防止を怠ったとして、両社を相手取り、計7,325万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴しました。
ついに日本においても、このような訴訟が起こってきたのです。
今回の場合、テナントが家主をアスベスト放置で訴えるということであり、世の中の不動産事業経営者の方々は大いなる関心を持たれたのではないでしょうか。
アスベスト放置の企業リスクは、テナントと家主の関係にとどまりません。
アスベストによる直接の被害もさることながら、これほどまでに社会の関心事となったことで、
アスベスト処理に対する企業の行動が、顧客からの評価に重大な影響を及ぼす
というリスクがあるということも意識せねばなりません。
インターネットが普及し、匿名による発言が大きな力を持つようになりました。
いつ何時、『あの企業はアスベストの存在を知りながら放置している』といった評価が襲ってくるとも限りません。
アスベストを放置したことによって企業経営が存続できなくなる
ということは大げさな話ではありません。
例えば、下記のようなことが考えられます。
企業の社員に対するリスク
例えば、自社ビルにアスベストが使用押されておりそれを放置したとすると、それを知った社員の会社に対する評価は、著しく低下すると考えられます。
また、社員募集においても不利になるでしょう。
病院の患者に対するリスク
病院の建物にアスベストが使用されておりそれを放置したとすると、市民の病院に対する評価は著しく低下し、病院経営に重大な影響を及ぼすと考えられます。
学校などの生徒に対するリスク
公立学校においては行政の指導もあり、対策は進められていますが、私立の学校においては対策が進んでないのが実態だと思われます。
アスベスト放置の評価が、生徒数減少につながる恐れがあります。
幼稚園などの園児に対するリスク
学校と同様、アスベスト放置の評価が園児数減少につながるものと思われます。少子化社会においてアスベスト放置の評価による園児減少を招くと、経営にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
店舗のお客様に対するリスク
店舗経営においては、顧客の評価が最も顕著に影響します。店舗そのもののみならず、店舗に付随する駐車場もその対象として認識すべきです。アスベスト放置の評価によって経営に重大な影響が及ぼされるでしょう。
建築物所有者・管理者の皆様へ 労働安全法 石綿障害予防規則 第10条 |
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平成17年7月1日から労働安全衛生法 石綿障害予防規則が施行され以下の対応が義務付けられました。また、違反者は『6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金』に処せられる可能性があります。
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解体・改修時に係わる法令
○吹き付け材・断熱材関連
- 労働安全衛生法・石綿障害予防規則:作業基準の遵守と届け出
- 大気汚染防止法:作業基準の遵守と届け出
- 廃棄物処理法:特別管理産業廃棄物管理責任者の設置とマニュフェストの発行
- 建築基準法、建設リサイクル法
○成形材関連
- 届け出は不要だが、吹き付け材にに準じた取り扱いを要求(作業従事者の保護)