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「建材中のアスベスト含有率測定方法」JIS A 1481:2008が平成20年6月20日に公示されました。
試料の採取から測定の流れは、以下のようになります。
アスベストは岩石を形成する鉱物のうち、蛇紋岩の群に属する繊維状のケイ酸塩岩物(クリソタイル)、及び角閃石の群に属する繊維状のケイ酸塩岩物(アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト及びアンソフィライト)で、アスペクト比(※1)が3以上の粒子と定義されています。
※アスペクト比とは、明日別祖繊維状粒子の長さと幅の比のこと。
現場から採取する場合、現状を乱さないように、またアスベスト粉じんを飛散させないようにして、鋭利なカッター等を用いて行います。試料の大きさは測定対象の建材を代表できる十分な大きさとし、
○吹付け材、保温材のような柔らかい材料の場合は、10p3/箇所で3箇所
○板状で比較的硬い材料の場合は、100p3/箇所で3箇所
から採取を行います。採取した試料は粉じんの飛散を留意して密閉した容器に入れます。
採取した試料を粉砕し、一次分析試料を作製した後、顕微鏡による定性分析及びX線回折による定性分析を実施します。この定性分析でアスベストが含有していると判断された場合、二次分析試料を作製し、X線回折による定量分析を実施して、アスベストの含有率を求めます。二次分析試料の残渣率が0.15を超える場合は、三次分析試料を作製して定量分析を実施します。(吹付けバーミキュライトに関しては下記を参照)
定性、定量共に1試料に対して3つの標体を作成して分析を行います。定性分析の顕微鏡測定では3つの標本で計測した3000繊維粒子中にアスベストが4繊維粒子以上あるか確認、X線回折では3つの標体に1つでもアスベストのピークが検出しているかを確認します。
定量分析ではX線回折で3つの標体を測定し、その平均値を定量値とします。
バーミキュライト(ひる石)は、工業的に利用されている天然鉱物の一つですが、不純物としてアスベストが含まれている可能性があります。試料が吹付け材で、X線回折による定性分析の結果、バーミキュライトの回折ピークが認められた場合、吹付けバーミキュライトを対象とした定性分析が必要となります。これは、バーミキュライトの中には、アスベストの有無に関わらず、クリソタイルやトレモライト/アクチノライトと同様な回折ピークを示すものがあり、前処理によってこれらの妨害ピークを取り除き、本当にアスベストを含んでいるか確認する必要があるからです。
前処理を行った試料についてX線回折を行い、クリソタイル及びトレモライト/アクチノライトの回折ピークが認められるか否かの定性分析を行います。クリソタイル等のピークが認められた場合は、同様に前処理を行った標体試料のクリソタイル等の回折ピーク面積と試料の回折ピーク面積の比較によりアスベストの有無を判定します。
下図が吹付けバーミキュライトの分析フローです。